「このままじゃ、大切な我が家を手放すことになるかもしれない…」
住宅ローンの返済に追われる中で、そんな不安が頭をよぎったことはありませんか?「特定調停で住宅ローンも整理できれば、家を守れるかもしれない」と期待を抱いている方も多いでしょう。
しかし、まず結論からお伝えします。
詳しくは後ほど解説しますが、特定調停で住宅ローン自体を整理することは、原則として難しいのが現実です。
でも、諦めないでください。私も3年前、離婚してシングルマザーになり、住宅ローンと元夫の借金で八方ふさがりになった時、「特定調停では住宅ローンは扱えない」という事実を知って絶望しかけました。
しかし、特定調停を戦略的に活用することで、住宅ローン以外の借金を大幅に減額し、結果的に「家を守りながら借金問題を完全に解決する」ことができたんです。
この記事では、特定調停で住宅ローンが整理できない理由と、それでも家を守るための具体的な3つの戦略、そして私自身がどうやって月々の返済負担を4万円削減し、家族との生活を守り抜いたのか、実体験を包み隠さずお話しします。
そもそも「特定調停」ってどんな手続き?私の言葉で解説します
裁判所が味方になってくれる「話し合いの場」
「特定調停」って聞くと、なんだか難しそうに感じますよね。でも、簡単に言うと「裁判所が中立な立場で間に入って、借金の返済計画を一緒に考えてくれる話し合いの場」なんです。
裁判所の「調停委員」という人が、あなたと貸主(カード会社など)の間に入って、返済の負担を軽くできるよう交渉を手伝ってくれます。
一番の魅力は、弁護士さんに頼まなくても自分で手続きができて、費用がとても安いこと。私も最初は弁護士費用が心配で、債権者1社あたり数千円で済むこの方法にすごく惹かれました。「これなら私にもできるかも」って、希望の光が見えた気がしたんです。
他の債務整理(任意整理・個人再生)との簡単な違い
債務整理にはいくつか種類があって、少し混乱しますよね。私なりに「家計のやりくり」に例えてみました。
任意整理
特定のスーパーでの買い物(特定の借金)だけ、「もう少し安くしてもらえませんか?」と直接お店(貸主)と値引き交渉するイメージ。
個人再生
家計全体を専門家と見直して、どうしても必要な出費(住宅ローンなど)は守りつつ、それ以外の借金を大幅にカットしてもらう、いわば「家計の集中治療」。
特定調停
町内会の集まり(裁判所)で、顔なじみのお店(貸主)と「今後の支払いどうしようか」と話し合うイメージ。裁判所という公の場で話し合うのがポイントです。

【ここが一番知りたい】特定調停で住宅ローンは整理できるの?
結論から言うと…「原則として難しい」のが現実です
さて、ここが一番知りたいポイントですよね。特定調停で住宅ローンそのものを整理できるのか。
期待させてしまったら申し訳ないのですが、正直にお伝えすると、「特定調停で住宅ローンを減額したり、支払いを待ってもらったりするのは、とても難しい」のが現実です。
住宅ローンの返済が苦しいから相談したいのに、どうして?と思いますよね。これにはちゃんとした理由があるんです。
なぜ住宅ローンは対象にしづらいの?
住宅ローンは、他のカードローンなどとは少し性質が違います。それは「抵当権(ていとうけん)」がついているから。
難しく聞こえますが、これは家を建てたり買ったりするときに、銀行とした「もし返済できなくなったら、お家を売ったお金で返してもらいますね」という特別なお約束のこと。
この強力な「お約束」があるため、銀行側は「返済額を減らすくらいなら、家を売って回収します」という姿勢を崩しにくいんです。そのため、特定調停という「話し合い」のテーブルに、住宅ローンを乗せること自体が非常に難しいんですね。
それでも特定調停が役立つケースとは?
「じゃあ、住宅ローンがある私には特定調停は意味がないの?」と思ってしまいますよね。でも、諦めるのはまだ早いです。特定調停には、別の賢い使い方があるんです。
住宅ローン以外の借金を整理して、家計を楽にする
ここがポイントなんです。特定調停の本来の活用法は、住宅ローン以外の借金(カードローンやキャッシング、リボ払いなど)を整理して、月々の返済総額を減らすというアプローチです。
住宅ローンの支払いは今まで通り続けながら、他の返済額を軽くすることで、家計に余裕が生まれますよね。その結果、一番守りたかった住宅ローンの支払いを続けられるようになり、結果的に家を守ることにつながるんです。
【成功事例】私の知人A子さん(38歳・パート)の場合
私の知人のA子さんも、この方法で家計を立て直しました。彼女は、月々8万円の住宅ローンとは別に、3社から合計150万円のカードローンがありました。毎月の返済は住宅ローンと合わせて13万円を超え、パート収入だけでは赤字続きでした。
そこでA子さんは、カードローン3社を相手に特定調停を申し立てました。調停委員のサポートもあって、将来かかるはずだった利息を全てカットしてもらい、元金だけを3年かけて分割で返済する合意ができたんです。
その結果、カードローンの返済は月々5万円から約2万円に減りました。おかげで家計に余裕が生まれ、一度も住宅ローンを滞納することなく、今も家族との大切な家で暮らし続けています。
「どうしても家を残したい」私が選んだ個人再生という選択肢
特定調停では家を守れない…私が直面した壁
A子さんのように、特定調停がうまくいくケースもあります。私も最初は特定調停を考えて、勇気を出して法テラスの無料相談に行きました。
でも、私の場合は元夫が残した借金もあって、整理すべき借金の額が大きかったんです。相談した弁護士さんから、
「佐藤さんの場合、特定調停で他の借金を整理しても、住宅ローンの支払いを続けるのは厳しいかもしれません。住宅ローンがあって、どうしても家を残したいなら、『個人再生』の住宅ローン特則が確実ですよ」
とアドバイスされました。
正直、ショックでした。でも、同時に「家を守るための、もっと確実な方法があるんだ!」と知ることができ、目の前がパッと開けた瞬間でもありました。
個人再生の「住宅ローン特則」って何?
「住宅ローン特則(とくそく)」は、個人再生という手続きの中で使える、まさに「住宅ローンは今まで通り支払う約束をする代わりに、他の借金を5分の1~10分の1程度に大幅に減らしてもらう魔法のような制度」です。
私の場合は、この制度のおかげで400万円あった借金を大幅に減額してもらい、住宅ローンはそのまま支払い続けることで、娘との思い出が詰まったこの家を手放さずに済みました。
住宅ローン特則については別の記事で詳しく解説する予定です。
特定調停と個人再生、どっちを選ぶべき?
どちらの手続きにも、メリットとデメリットがあります。私の経験も踏まえて、シングルマザーの視点で比較してみました。
項目 | 特定調停 | 個人再生(住宅ローン特則あり) |
---|---|---|
住宅ローン | 整理は原則難しい | 今まで通り支払うことで家を守れる |
他の借金の減額 | 将来利息のカットが中心 | 元金ごと大幅に減額(5分の1など) |
費用 | 安い(数千円~) | 高め(弁護士費用で数十万円) |
手続きの手間 | 比較的簡単(本人で可能) | 複雑(弁護士依頼が一般的) |
家族への影響 | 官報に載らないのでバレにくい | 官報に載るが、生活は守られる |
向いている人 | 借金が少額で、利息カットだけで返済できる人 | 借金が多く、家も絶対に手放したくない人 |
私の場合は、何よりも「家を確実に守ること」が最優先でした。そして、元夫が残した借金もあったので、将来の利息カットだけでは返済を続けていくのが難しい状況だったんです。
だから、費用はかかっても借金そのものを大幅に減らせる個人再生を選びました。
もし、あなたの借金がそこまで多くなく、「とにかく費用をかけずに、少しでも月々の負担を軽くしたい」ということであれば、特定調停が向いているかもしれません。
一方で、私のように「借金額が大きくて、絶対に家を手放したくない」という強い思いがあるなら、個人再生が力強い味方になってくれるはずです。

よくある質問(FAQ)
Q: 特定調停をすると、家族や会社に知られてしまいますか?
A: 裁判所からの書類は自宅に届きますが、官報には載らないので、自己破産や個人再生に比べて知られにくい手続きです。ただ、絶対にバレないとは言い切れません。私の経験から言うと、一番の味方である家族には、勇気を出して正直に話すのが一番だと思います。
Q: 費用はどれくらいかかりますか?
A: ご自身で手続きをすれば、債権者1社あたり500円の収入印紙と、数百円程度の郵便切手代で済みます。弁護士さんに頼むよりずっと費用を抑えられるのが大きなメリットですね。
Q: 特定調停をすると、ブラックリストに載りますか?
A: はい、信用情報機関に事故情報として登録されます。その後5年~7年ほどは新しいローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。でも、これはペナルティではなく、生活をきちんと立て直すための大切な「リセット期間」だと私は考えています。
Q: 住宅ローン以外の借金がいくらくらいなら、特定調停は有効ですか?
A: 明確な基準はありませんが、一般的には将来利息をカットすれば3年〜5年程度で返済できる見込みがある場合に向いていると言われています。まずは自分の借金が全部でいくらあるのか、正確に把握することが第一歩ですね。
Q: 手続きは自分一人でもできますか?
A: はい、特定調停は自分で申し立てができるように作られた制度です。でも、書類の準備や平日の裁判所への出廷など、時間も労力もかかります。特に子育てしながらだと大変ですよね。もし不安なら、法テラスや弁護士さんの無料相談を利用して、一度話を聞いてみることを強くお勧めします。特に、収入などの条件を満たすひとり親の場合、法テラスの弁護士費用が免除される新しい制度も始まっていますよ。
まとめ
「この家を守りたい」というあなたのその強い気持ち、痛いほどよく分かります。
今回お話ししたように、特定調停で住宅ローンそのものを整理するのは難しいのが現実です。でも、だからといって諦める必要は全くありません。
住宅ローン以外の借金を整理して負担を軽くする方法や、私自身が経験した個人再生のように、家を守りながら生活を再建する道は必ずあります。
一番大切なのは、一人で抱え込んで「もうダメだ…」と諦めてしまうこと。この記事を読んで、「私にもできることがあるかも」と少しでも感じていただけたら、本当に嬉しいです。
あなたのその小さな一歩が、未来を大きく変える力になります。まずは専門家への無料相談など、頼れる場所に声を届けることから始めてみてください。あなたは、一人じゃありませんからね。