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年収800万円でも破綻した理由|元金融マンが陥った借金地獄からの生還

「年収800万円もあるのに、なぜか家計が苦しい…」そんな状況に心当たりはありませんか?

実は私も同じでした。銀行で融資審査を担当していた元金融マンでありながら、650万円の借金を抱え、10社以上の金融機関を渡り歩く多重債務者へと転落したのです。

この記事では、高収入でも借金に苦しむあなたが借金地獄から完全脱出し、真の経済的安定を手に入れるための具体的な戦略を、私の任意整理成功体験と融資のプロとしての専門知識で徹底解説します。

結論から言うと、高収入者の借金問題は「ライフスタイルインフレーション」と「投資の過信」が主因であり、適切な債務整理で必ず解決できます。融資審査のプロとして数百件の案件を見てきた私が、借金650万円から完全生還を果たした実体験をお伝えします。

あなたの高収入を真の資産に変える、実践的な教訓です。

目次

なぜ年収800万円の金融マンが破綻したのか?【3つの構造的欠陥】

「いつでも稼げる」というプロの過信とライフスタイルインフレーション

年収が高いと「これくらいは大丈夫」と、無意識に生活レベルを上げてしまいがちです。これを専門的には「ライフスタイルインフレーション」と呼びます。

簡単に言えば、収入の増加に合わせて支出も膨らんでしまう現象のことです。

私の経験では、これが破綻の第一歩でした。銀行員という職業柄、周囲も高収入な同僚が多く、付き合いで見栄を張ってしまうのです。

具体的な数字で言うと、都心へのアクセスを重視した結果、家賃は月20万円超え。後輩に奢る機会も増え、交際費は月10万円。スーツや時計にもこだわり、被服費は年間50万円以上。気づけば、固定費だけで毎月40万円近くが消えていました。

「何かあってもボーナスで補填できる」「最悪、転職すればまた稼げる」という金融マン特有の根拠なき自信が、このインフレーションに拍車をかけました。銀行員視点で見ると、融資審査では厳しくチェックするはずの「収支バランス」を、自分自身が最も軽視していたのです。

関連:個人の資産を守るために「ライフスタイル・インフレ」に気をつけよう | ライフハッカー・ジャパン

知識の罠:投資用不動産と株式投資の失敗

「金融のプロは投資で失敗しない」というのは、完全な幻想です。むしろ、私の場合は中途半端な知識が仇となりました。

最初に手を出したのが、営業電話をきっかけとした投資用ワンルームマンションです。銀行員という属性はローン審査に通りやすく、私は3000万円のローンを組んでしまいました。融資審査担当者として、不動産投資のリスクは理解していたはずでした。

しかし、「サブリース契約で家賃保証があるから安心」という営業トークと、「自分なら上手くやれる」という過信が判断を曇らせたのです。

さらに、その後のコロナ禍で状況は悪化。家賃収入が想定を下回り、持ち出しが発生。その損失を取り返そうと、信用取引で株式投資に手を出したのが致命傷でした。

信用取引とは、自己資金の約3倍の金額を取引できるハイリスク・ハイリターンな投資です。

私は、銀行員として得た知識を過信し、あっという間に50万円の元手を溶かし、さらに追証(追加保証金)を求められる事態に陥りました。金融機関が勧める商品のリスクを、顧客には説明する立場の人間が、自身の投資では全く見えていなかったのです。

プライドという名の壁:相談できずに多重債務へ

そして、破綻を決定づけた最大の失敗は「誰にも相談できなかったこと」です。

金融のプロである銀行員が、借金で首が回らないなど、口が裂けても言えませんでした。妻にさえ打ち明けられず、一人で抱え込みました。

不動産ローンの補填と投資の損失を埋めるため、まずは銀行のカードローンに手を出し、限度額に達すると消費者金融へ。返済日が近づくと、別の消費者金融で借りて返す「自転車操業」が始まりました。

気づけば、借入先は10社を超え、借金総額は650万円に膨れ上がっていました。これは多重債務に陥る典型的なプロセスです。プライドという名の壁が、私を正常な判断から遠ざけ、事態を悪化させました。

銀行員として多くの債務者を見てきたにも関わらず、自分がその当事者になったとき、いかに冷静でいられないかを痛感しました。「もっと早く専門家に相談していれば…」この後悔は、今でも私の心に深く刻まれています。

私が陥った借金地獄の全貌【元銀行員の実体験】

始まりは3000万円の不動産ローンと50万円の株式投資

私の借金地獄は、華々しい投資から始まりました。32歳の時、年収800万円。当時の私は、まさに怖いもの知らずでした。

投資1:投資用ワンルームマンション(ローン3000万円)

  • 物件価格:3000万円
  • ローン:フルローン、金利2.5%、35年返済
  • 当時のシミュレーション:「月々の家賃収入でローン返済と管理費を賄い、手元に1万円残る」
  • 見落としたリスク:空室リスク、家賃下落リスク、金利上昇リスク、大規模修繕費

FPとなった今、この計画がいかに無謀だったか分かります。年収800万円に対する3000万円の投資ローンは、明らかに過大でした。

銀行員視点で見ると、これは「返済比率(年収に占める年間返済額の割合)が高い要注意案件」そのものです。自分のことになると、これほど甘い判断をしてしまうのです。

投資2:株式信用取引(元手50万円 → 損失200万円)

不動産投資の赤字を埋めるため、なけなしの貯金50万円で信用取引を開始。しかし、ビギナーズラックは続かず、相場の急変で200万円以上の損失を抱えることになりました。

借金が650万円に膨れ上がるまでの「雪だるま式」プロセス

ここからが、本当の地獄でした。「A社で借りてB社に返す」日々が始まったのです。

時系列借入先借入額(累計)金利(年率)状況
1年目銀行カードローンA150万円14.5%投資の損失補填
1年半後消費者金融B250万円18.0%A社への返済と生活費
2年目消費者金融C,D400万円18.0%B社への返済と督促対応
2年半後クレカキャッシングE,F550万円18.0%自転車操業が常態化
3年目闇金寸前(計10社以上)650万円精神的に限界

給料日になると、まず各社への返済額を計算し、ATMを何件もはしごする。それでも足りず、また別のカードでキャッシングする。督促の電話に怯え、携帯が鳴るたびに心臓が縮む思いでした。

年収800万円のはずが、手元には1円も残らない。この精神的な消耗は、経験した者でなければ分からないでしょう。

借金が雪だるま式に増える恐怖のプロセスの図解

破綻の瞬間:銀行を辞め、弁護士のドアを叩くまで

Xデーは突然訪れました。ある消費者金融からの返済が1日遅れたことで、信用情報に傷がつき、他のカードローンも利用停止になったのです。万策尽きました。

その夜、私は初めて妻に全てを打ち明けました。罵倒されることも覚悟していましたが、彼女はただ静かに話を聞き、「明日、専門家を探そう」と言ってくれました。

金融のプロとしてのプライドはズタズタでした。銀行員という安定した職を失う恐怖もありました。しかし、このままでは家族もろとも破滅する。私は退職を決意し、震える手で弁護士事務所の電話番号を調べました。あの時の、情けなさと安堵が入り混じった感情は一生忘れません。

破綻から生還へ。元銀行員が知識を総動員した任意整理の全技術

なぜ自己破産ではなく「任意整理」を選んだのか?

弁護士からは3つの選択肢を提示されました。「自己破産」「個人再生」「任意整理」です。

手続きメリットデメリット私の判断
自己破産借金が全額免除される財産(家など)を失う、資格制限がある妻名義の僅かな貯蓄も失いたくなかったため回避
個人再生借金を大幅減額、家を残せる可能性手続きが複雑、官報に載る官報掲載で再就職に影響が出ることを懸念し回避
任意整理財産を守れる、裁判所を介さない、家族にバレにくい元金は減らない、将来利息カットが中心これを選択。 元金は働くことで返済可能と判断。

私が任意整理を選んだ最大の理由は、元銀行員として「信用情報」への影響を熟知していたからです。任意整理は、裁判所を介さない私的な交渉です。官報に氏名が掲載されることもなく、再起を図る上で最もダメージが少ないと判断しました。

債権者との交渉術:「貸し手」の心理を逆手に取る方法

ここからが、私の銀行員としての知識が最も活きた場面です。弁護士と二人三脚で、債権者との交渉に臨みました。

銀行員視点で見ると、貸し手(債権者)が最も恐れるのは「自己破産されて1円も回収できなくなること」です。これを逆手に取り、「自己破産も選択肢にあるが、誠実に返済する意思がある。そのためには将来利息のカットと返済期間の延長が不可欠だ」という論理で交渉を進めました。

具体的には、以下の点を盛り込んだ詳細な「収支改善計画書」を提示しました。

  1. 退職による収入減と、再就職後の現実的な収入見込み
  2. 家計簿に基づく徹底した固定費削減の証明(家賃の安い家への引っ越し等)
  3. 「3年間で元金650万円を完済する」という明確な返済計画

この「数字に基づいた誠実な提案」が功を奏し、ほぼ全ての債権者から将来利息の全額カットと、3年〜5年の分割返済という和解条件を引き出すことに成功しました。感情に訴えるのではなく、貸し手の回収メリットをロジカルに説明することが交渉の鍵なのです。

3年間の返済計画と信用回復までの道のり

和解成立後、月々約18万円の返済が始まりました。FPとして独立し、収入は不安定でしたが、妻のパート収入と合わせ、なんとか返済を続けました。

クレジットカードが持てない生活は、想像以上に不便でした。ネットショッピングはデビットカードか代引き。ETCも使えず、高速道路は現金払い。しかし、この不便さが「二度と借金はしない」という強い決意を育ててくれました。

私の経験では、任意整理後、信用情報機関から事故情報が消えるまでには完済から約5年かかりました。返済開始から数えると、実に8年近い歳月です。この期間を経て、私はようやく新しいクレジットカードを手にすることができました。

節約生活の中で、家族で公園に行く、手作りのお弁当を食べる、といったささやかなことが、何よりの喜びだと気づきました。失ったものも大きいですが、得たものも確かにあったのです。

【二度と繰り返さない】私が実践する「数字」で家計を守る3つの鉄則

私の壮絶な失敗と再生の経験から得た、家計を守るための鉄則は3つです。これは、FPとしてお客様にも必ずお伝えしていることです。

鉄則1:全資産・負債の「見える化」とバランスシート作成

まず、家計の健康状態を客観的に把握することです。そのために、企業の決算書で使われる「バランスシート(貸借対照表)」の考え方を個人向けに応用します。

簡単に言えば、左側に「資産(預金、不動産、株など)」を、右側に「負債(ローンなど)」と「純資産(資産-負債)」を書き出すだけです。これにより、自分が「本当はいくら持っているのか」が一目瞭然になります。

私の破綻前は、資産以上に負債が膨れ上がった「債務超過」の状態でした。これを毎月、または四半期に一度作成するだけで、家計のリスクを早期に発見できます。

鉄則2:固定費の徹底的見直しと「目的別」先取り貯蓄

家計改善の9割は「固定費」の見直しで決まります。私の場合は、以下を見直しました。

  • 住居費: 家賃20万円 → 12万円(郊外へ引っ越し)
  • 通信費: 大手キャリア → 格安SIM(月1万円 → 3千円)
  • 保険料: 不要な保障を解約(月3万円 → 1万円)
  • サブスク: 利用頻度の低いものを全て解約(月5千円 → 0円)

これだけで、月々10万円以上の支出を削減できました。そして、浮いたお金は漠然と貯金するのではなく、「教育費」「老後資金」「緊急予備資金」など目的別に口座を分け、給料日に自動で振り替える「先取り貯蓄」を徹底しています。

鉄則3:収入の複線化と「身の丈に合った」自己投資

銀行員時代の失敗は、ハイリスクな金融商品に手を出したことでした。その反省から、今は「自己投資」を最も重視しています。FPの資格取得や、Webマーケティングの学習など、自身のスキルを高め、収入源を増やす(収入の複線化)ことが、最も堅実でリターンの高い投資だと考えています。

もちろん、資産運用も行っていますが、必ず「生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)を確保した上での余剰資金」で、「長期・分散・積立」を基本としたインデックス投資にとどめています。身の丈を超える投資は、必ず破綻を招きます。

よくある質問(FAQ)

Q: 年収が高いのに貯金ができません。何から手をつければいいですか?

A: まずは支出の「見える化」です。最低1ヶ月、家計簿アプリなどで何にいくら使っているかを記録してください。多くの場合、自分では気づいていない「使途不明金」や、見栄による「高すぎる固定費」が見つかります。数字で現状を把握することが全ての始まりです。

Q: 投資で失敗しました。損失を取り返したいのですが…

A: 私の経験から言うと、焦って損失を取り返そうとするのが最も危険です。一度冷静になり、なぜ失敗したのかを徹底的に分析してください。多くの場合、リスク許容度を超えた投資をしています。

まずは生活防衛資金を確保し、余剰資金の範囲で、長期・分散・積立を基本とした堅実な投資に切り替えるべきです。

Q: 家族や会社に借金のことを知られずに債務整理できますか?

A: 可能です。私が選択した「任意整理」は、裁判所を介さず弁護士が債権者と直接交渉する手続きのため、官報に載ることもなく、原則として家族や会社に知られることはありません。

ただし、勤務先から借入がある場合は注意が必要です。まずは無料相談などで専門家に状況を話すことを強くお勧めします。

Q: 元銀行員として、どんなローンが「危ない」と感じますか?

A: 「審査が甘い」「手軽に借りられる」ことを強調するローン商品には注意が必要です。特に、返済方法がリボ払いになっているカードローンは、元金が全く減らず利息だけを払い続ける状況に陥りやすいです。実務上、多重債務者の多くがリボ払いで破綻しています。商品の仕組みを理解せず利用するのは非常に危険です。

Q: プライドが邪魔で、借金のことを誰にも相談できません。

A: かつての私が全く同じ状況でした。そのプライドが事態を悪化させ、私から多くのものを奪いました。断言しますが、一人で抱え込んでも解決しません。弁護士や司法書士には守秘義務があります。勇気を出して専門家のドアを叩くことが、生還への唯一の道です。その一歩が、あなたの未来を救います。

まとめ

年収800万円からの転落と生還。私の経験から得た最大の教訓は、「金融知識は、時に人を傲慢にし、判断を誤らせる」という事実です。そして、どんな状況でも「正しい知識と行動で人生は再建できる」ということでした。

この記事で紹介した破綻のメカニズムと具体的な再生の技術は、かつての私のように一人で悩むあなたのために書きました。重要なのは、過去の失敗を直視し、数字に基づいた冷静な判断を下し、そして勇気を出して次の一歩を踏み出すことです。

私の失敗が、あなたの家計を守り、未来を切り拓く一助となれば、これ以上の喜びはありません。もし今、あなたが同じ苦しみの中にいるのなら、どうか一人で抱え込まず、専門家への相談という扉を開けてください。

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この記事を書いた人

40歳ファイナンシャルプランナー。大手都市銀行で10年間個人向け融資業務に従事後、投資失敗により650万円の借金を抱え35歳で任意整理を経験。現在は元銀行員の知識と債務整理体験を活かし、債務問題を抱える人々の相談に応じている。

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