「ごめん…、実は借金があるんだ」
パートナーからそう告げられた時の、血の気が引くような感覚。夫婦のお金の問題は、本当に他人事ではありませんよね。「これからどうなってしまうんだろう…」と、二人で途方に暮れているかもしれません。
ご安心ください。こんにちは、佐藤美咲です。私はかつて元夫の借金が原因で離婚し、400万円の借金を抱えましたが、債務整理によって家を守り抜き、人生を立て直しました。
だからこそ、今まさに夫婦の借金問題で立ちすくんでいるあなたの気持ちが、痛いほど分かるんです。
この記事を読み終える頃には、あなたは「私たち夫婦に最適な債務整理の方法」が明確に分かり、不安だらけの毎日から抜け出して、家族で再出発するための具体的な道筋を描けるようになっています。
【この記事の結論】夫婦で債務整理 3つの基本ルール
- 返済義務は「本人」だけ
たとえ夫婦でも、借金の返済義務は契約した本人にしかありません。ただし、配偶者が「連帯保証人」になっている場合は返済義務を負うため、注意が必要です。 - ブラックリストは「本人」だけ
債務整理をすると信用情報(ブラックリスト)に登録されますが、その影響は手続きをした本人に限定されます。配偶者の信用情報に直接的な影響はありません。 - 内緒の手続きは「ほぼ不可能」
個人再生や自己破産では、世帯全体の家計状況を示す書類が必須です。そのため、配偶者の協力なしに手続きを進めるのは現実的に困難です。まずは正直に話し合うことが解決への第一歩です。
本文では、これらの基本ルールに加え、「同時」と「個別」どちらで手続きすべきか、住宅ローンがある場合の対処法などを詳しく解説します。
【大前提】夫婦の借金、返済義務は誰に?債務整理への影響は
「夫の借金を、妻の私が払わなきゃいけないの?」
まず、この一番の疑問からお答えしますね。
借金の契約はあくまで「個人」のもの
法律の原則として、たとえ夫婦であっても、借金の返済義務は契約した「本人」にしかありません。例えるなら、夫が自分の名前で契約したスマホ代を、妻が法律的に払う義務はないのと同じなんです。
ですから、夫名義の借金を、妻であるあなたが直接返済する義務はない、というのが基本です。
ただし「保証人」になっている場合は別
ただ、一つだけ大きな例外があります。それは、あなたが借金の「連帯保証人」になっている場合です。実は、元夫の借金の一部を私が背負うことになったのは、過去に軽い気持ちで保証人欄にサインしてしまっていたからなんです…。
連帯保証人になると、契約した本人と同じ重い返済義務を負うことになります。契約書にサインする時は、本当に注意が必要ですよね。
生活に影響が出るから「他人事」ではいられない現実
法的には個人の問題でも、家計は夫婦で一つですよね。夫のお給料が借金の返済に消えていけば、当然、家族の食費や子どもの教育費にしわ寄せが来ます。結局は家族みんなの問題になってしまうんです。
だからこそ、「あなたの借金でしょ」と突き放すのではなく、夫婦で一緒に向き合うことが、解決への一番の近道になるんです。
夫婦の債務整理、「同時」と「個別」どっちがいい?基本を比較
夫婦で債務整理をすると決めた時、大きく分けて2つの方法があります。
パターン1:夫婦で一緒に手続きする「同時申立て」
これは、夫婦が同じタイミングで、同じ弁護士さんや司法書士さんにお願いして手続きを進める方法です。家計を「一つの家族」として全体的に見直して、根本的な解決を目指すのに向いています。
パターン2:夫婦それぞれが手続きする「個別申立て」
こちらは、夫婦が別々のタイミングで手続きしたり、それぞれ違う専門家にお願いしたりする方法です。例えば、「夫は個人再生、妻は任意整理」というように、それぞれの事情に合わせた柔軟な対応ができるのが特徴です。
【佐藤さんの視点】我が家の債務整理はどちらを選ぶべき?判断のポイント
もし今の私が、パートナーと一緒に債務整理を考えるとしたら、こんなことを話し合うと思います。あなたも、ご夫婦の状況をチェックリストで整理してみてください。
- 借金の原因は夫婦共通?それともどちらか一方?
- (例:夫婦の浪費 vs 夫のギャンブル)
- お互いの借金の額は、それぞれどれくらい?
- どうしても守りたい財産(家や車など)はある?
- どちらかの親族などが保証人になっていない?
- 夫婦で同じ手続き(例:自己破産)をすることに抵抗はない?
これらの答えによって、どちらの方法が合っているかが見えてきますよ。
夫婦で債務整理を「同時」に行うメリット・デメリット
メリット1:家計全体を根本的に改善できる
これが最大のメリットです。夫婦の収入と支出をすべて洗い出すので、家計という一つの財布のどこに穴が空いているのかを、夫婦で一緒に確認できる絶好のチャンスなんです。隠し事なく、ゼロから家計を立て直せます。
メリット2:手続きの費用や手間を抑えられる可能性がある
同じ専門家にお願いすることで、着手金を割引してくれたり、住民票などの必要書類を一度に準備できたりと、費用や手間を少し抑えられる場合があります。
デメリット1:夫婦そろってブラックリストに載る
夫婦ともに、信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。そのため、5年~7年ほどは新しいローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることが難しくなります。
我が家もそうでしたが、この期間は現金主義で暮らす工夫が求められます。でも、それが結果的に家計管理能力を高めてくれたので、悪いことばかりではなかったですよ。
デメリット2:選択肢が制限される場合がある
例えば、夫は家を残すために個人再生がベストでも、妻は保証人に迷惑をかけない任意整理がベスト、というケースもあります。同時に進めることで、こうした個別の事情に合わせた柔軟な選択がしにくくなる可能性はありますね。
夫婦の債務整理を「個別」に行うメリット・デメリット
メリット1:それぞれに最適な手続きを選べる
これが個別申立ての強みです。夫は「住宅ローン特則付きの個人再生」で家を守り、妻は「保証人に迷惑をかけない任意整理」で職場に知られず手続きするなど、それぞれの状況に合わせたベストな選択ができます。
メリット2:片方の信用情報を守れる可能性がある
手続きをするのは片方だけなので、もう片方の配偶者の信用情報には直接的な影響がありません。「子どもの進学で教育ローンを組む必要があるかもしれない」といった将来の可能性に備えて、片方の信用情報を残しておく、という戦略も考えられます。
デメリット1:家計の根本的な解決にならない恐れがある
片方の借金だけを整理しても、もう片方の返済が家計を圧迫し続けると、問題が先送りになるだけかもしれません。まるで、バケツの穴が二つあるのに、一つしか塞いでいないような状態になってしまうんです。
デメリット2:配偶者に内緒で進めるのは難しい
特に自己破産や個人再生では、世帯全体の収入や家計の状況を示す書類の提出が求められます。そのため、配偶者の協力なしに手続きを進めるのは、現実的にはとても難しいんです。
【体験談】住宅ローンがある夫婦の債務整理|持ち家を守る方法
私にとって、家は娘との唯一の城でした。だから「この家だけは絶対に手放したくない」と強く思っていました。
私が「個人再生」で家を守り抜いた方法
私が選んだのは、個人再生の「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度です。これは、住宅ローンは今まで通り返済を続ける約束をする代わりに、他の借金(私の場合は元夫の借金とカードローン)を大幅に減額してもらう方法です。
裁判所に提出する書類の山、家計簿の細かいチェック…本当に大変でした。でも、「この家で娘を育てたい」その一心で乗り越えることができたんです。

「ペアローン」を組んでいる夫婦の債務整理の注意点
最近多い「ペアローン」は特に注意が必要です。ペアローンは、夫婦それぞれが住宅ローンの契約者で、お互いが連帯保証人になっていることがほとんど。
もし片方が債務整理をしてしまうと、金融機関はもう片方に「残りのローンを全額一括で返してください」と請求してくる可能性があるんです。
ペアローンの場合は、必ず夫婦一緒に専門家に相談してくださいね。
持ち家を残す選択肢と、手放す選択肢
家を残すことだけが、幸せの形ではありません。家を手放して自己破産し、借金をゼロにして新しい生活を始める、という選択肢もあります。
家は大切ですが、家族の笑顔はもっと大切です。どちらが自分たち家族にとって本当に幸せな選択なのか、夫婦でじっくり話し合ってみてください。
債務整理を乗り越える夫婦の話し合い方【経験者が語るコツ】
お金の話は、夫婦でも一番しにくい話題かもしれません。でも、ここを乗り越えれば、きっと絆は深まります。
STEP1:まずは感情的にならずに「事実」を共有する
借金の総額、借入先、毎月の返済額などを、感情的にならずに紙に書き出してみましょう。相手を責める場ではなく、「我が家の家計の健康診断をする時間」と考えてみてください。現状を二人で正確に見ることが、最初の大きな一歩です。
STEP2:お互いの「なぜ」を理解し、過去を責めない
「なぜ借金をしてしまったのか」その背景にある気持ちを、正直に話し合ってみませんか?見栄、ストレス、寂しさ…。
実は私も、クレジットカードのリボ払いがやめられなかった時、買い物をすることで心の穴を埋めていたのかもしれない、と後から気づきました。過去を責めても何も生まれません。お互いを理解しようとすることが大切です。
STEP3:「これからどうしたいか」未来の目標を一緒に描く
「子どもが大学に行くまでに〇〇円貯めたいね」「年に一回は家族旅行に行きたいな」
債務整理後の、明るい未来を二人で具体的に描いてみましょう。辛い手続きを乗り越えるための、大きなモチベーションになりますよ。
STEP4:子どもへの影響と伝え方
子どもの年齢にもよりますが、状況を正直に、でも不安を与えないように伝える工夫が必要です。私の場合は、「お父さんとお母さん、今ね、もっと家族が仲良くなるために、お金のお勉強を始めたんだよ」というように、ポジティブな言葉を選んで伝えました。
よくある質問(FAQ)
Q: 夫(妻)に内緒で債務整理はできますか?
A: 任意整理であれば配偶者の協力なしに進められる可能性はありますが、個人再生や自己破産では家計全体の書類が必要になるため、内緒で進めるのは非常に困難です。問題の根本的な解決のためにも、正直に打ち明け、夫婦で協力して進めることを強くお勧めします。
Q: 夫婦のどちらかが債務整理をすると、もう一人もブラックリストに載りますか?
A: いいえ、信用情報は個人単位で管理されているため、手続きをした本人だけがブラックリストに載ります。配偶者の信用情報に直接影響はありません。ただし、配偶者が保証人になっている場合は返済義務が生じます。
Q: 夫婦で自己破産すると、子どもの進学や就職に影響はありますか?
A: いいえ、親が自己破産したことが、子どもの進学や就職で不利になることは法律上ありません。戸籍や住民票に記載されることもありませんので、ご安心ください。大切なのは、家計を立て直し、お子さんが安心して学べる環境を整えてあげることです。
Q: 住宅ローン返済中ですが、債務整理できますか?
A: はい、可能です。任意整理や個人再生の「住宅資金特別条項」を利用すれば、住宅ローン以外の借金を整理し、マイホームに住み続けることができます。私自身もこの制度を利用して家を守りました。まずは専門家に相談してみましょう。
Q: 夫婦で同時に手続きを依頼すると、弁護士費用は安くなりますか?
A: 法律事務所によっては、夫婦で同時に依頼することで着手金などを割引してくれる場合があります。必ずではありませんが、一度に家計全体の問題を解決できるメリットも大きいので、まずは無料相談などで確認してみるのが良いでしょう。
まとめ
夫婦の債務整理は、同時に申し立てる方法も、個別に進める方法も、それぞれにメリットとデメリットがあります。大切なのは、法律的な正解を探すこと以上に、お二人が心から納得し、協力して未来へ進める方法を選ぶことです。
私の経験から言えるのは、借金問題は、夫婦の絆を壊す原因にもなりますが、正直に、勇気を持って向き合うことで、かえって絆を深めるきっかけにもなり得る、ということです。
一人で、あるいは二人だけで抱え込まないでください。専門家の力を借りる勇気を持ってください。その小さな一歩が、必ずあなたたち家族の新しい、明るい始まりにつながりますから。
